油絵の具を使う理由
2017年 01月 22日タカです。
また標本画の話になりますが、今日は「なぜ油絵の具を使っているか」についてお話します。
昨日は油絵の具の乾燥速度について触れました。
油絵の具は非常に乾燥時間がかかります。
1日から長くて5日ほどかけてゆっくり乾燥します。
一方、水彩絵の具であればドライヤーの熱を当てれば30秒くらいで乾きます。
ただ水分が蒸発するとその分体積が減り塗った絵の具が痩せてしまいます。
もちろん平面でフラットな画面なら全く問題ありませんが、僕が表現したいカメのディティールはレリーフ(浮き彫り細工)の様に半立体的な要素があると面白いのではないかと言う発想がありました。
もちろん昔から油絵の具を使っていたからこそ出てきた発想で、
要は絵の具を盛り上げたり、ボコボコやザラザラな質感を出したり、削ったり凹ましたりして甲板の成長輪や皮膚の柔らかさや硬さ加減、ウロコやトゲなどの質感を表現したいのです。
仮にドロっとしたペースト状の水彩絵の具やアクリル絵の具でこれらを表現しても乾燥すればペッタンコです。
油絵の具は空気と化学反応して乾燥する為一切体積は変化せず、キャンバスに乗せた絵の具はその色も形も変えずに乾燥します。
これが扱いが面倒と言われている油絵の具をあえて使う理由です。
これはセマルハコガメの標本画です。
この洗濯板のような甲板の成長輪は油絵の具でないと表現できません。
しかも何年、何十年経ってもこれはこのままなのです。
by karinkarin610
| 2017-01-22 13:16
| カメの絵